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結婚・家族関係の学者が結婚相談所をやってみたよ。

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『婚活コンシェルジュ(野々山 久也 著、ミネルヴァ書房、2014)は家族社会学の研究者である著者が、自ら仲人業に乗り出した顛末と考察を交えて書いた、婚活の学術書です。


"「定年後、仲人業をやってみようと思っているよ」と、担当しているゼミ生たちに語っても、肯定的な反応はまったく得られなかった。" (まえがきⅰ)


著者が専門としている「家族社会学」では、かねてから婚前過程の研究が非常に盛んであると言います。

 

この学問には、「結婚の安定性」についての予測と関連する命題群があります。

 

例えば「同質性の命題」とは、以下のような内容です。


"⑴「二人の社会経済的地位の相違が小さければ小さいほど」


⑵「二人の知性の差が小さければ小さいほど」


⑶「二人の年齢差が小さければ小さいほど」


⑷「二人の教育レベルの差が小さければ小さいほど」


⑸「二人の初婚年齢が高ければ高いほど」


⑹「二人の文化の同質性(人種や宗教や民族など)が大きければ大きいほど」


⑺「二人が婚前によく知り合っていればいるほど」


それぞれ「離婚の生じる可能性は小さい」という命題が存在している。" (10ページ)


これは相手を選ぶ際のざっくりとしたチェック事項として、使えそうです。


*結婚に向かうまでの「三つの段階」


また、結婚に至るまで、段階をふむのが望ましいという理論があります。


それが「婚前ダイアッド形成」


アメリカの家族社会学者ロバート・ルイスによるものです。


ちなみに「ダイアッド」とは二者関係または相互関係と言う意味です。


*類似性確認の段階


"まずデート開始の段階は、たがいが双方について類似している部分を確認しあう「類似性確認の段階」である。" (16ページ)


"趣味、関心、価値観、人格など、何でも語り合って、理解しあえる部分が多ければ多いほど、課題達成に到達したことになる。" (16ページ)


*親密性確認の段階


"つぎの段階は、たがいに親密であることを確認しあう「親密性確認の段階」である。"


"話しやすさ、やさしさ、かかわりの満足感、肯定感など双方の認知に加えて、手と手を握りあうことができたり、寄り添って座ることができたり、さらにすすめば軽くキスすることもできたりすることが課題達成ということになる。" (16ページ)


類似性の段階が不十分なまま、親密性を求めてホテルに行ってしまい、交際が途絶えると言うこともよくある話です。


ひとつひとつ段階を踏んでいくという事が大事。


*自己開示の段階


"そして、つぎの三段階目は、さらに課題達成のレベルがあがる。


それはたがいの「自己開示の段階」である。


この課題達成は、類似性確認の段階におけるような語りあいではない。


それは多くの場合、自慢話の真逆であって、たいていは語りたくない、あるいは語れば、二人の関係が途絶えてしまうかもしれない不安に思っているような自らの内密な事情を、たがいに信頼して明らかにするという課題達成である。"      (17ページ)


どの課題も完全達成などあり得ないので、この後も持続していくことになります。


*結婚相談サービス業態の三つの類型


 経済産業省により、マッチングサービスは三つの業態に分類されています。


「データマッチング型サービス」、「インターネット型サービス」、そして「仲人・結婚相談型サービス」の三類型です。


*データマッチング型サービスの問題点


 "たいていの場合、二年間から三年間という契約期間を定めているので、婚約ないし成婚にいたらない場合には、金銭的な大きな負担感が残るといってよい。


この型のサービスでの会員同士の成婚率が経済産業省のデータ(すなわち暫定成婚率)では、男性の場合八・八パーセント、女性の場合一二・一パーセントであることを考えると、ひじょうに多く人びと、というよりは、ほとんどの人びとが二年間ほどの契約期間の期限切れで大きな金銭的負担感を感じていることになる。" (34ページ)


*インターネット型サービスの問題点とは


".......コミニュケーション能力としての文章力のレベルやネット上での相手への配慮が貧弱であれば、出会うことも叶わない。


さらに、出会えて交際にいたっても、たとえば投資マンションの購入をすすめるデート商法など、婚活サイト悪用の被害に遭わないとも限らない。" (35ページ)


*仲人・結婚相談型サービスの問題点とは


".......仲人、すなわち仲介してくれる担当者は、応対上手な、大変世話好きで親切なカリスマ的中高年の女性が多い、といわれている。


ただし、その「仲人さん」あるいは「先生」といわれる仲介者との相性がよくないと、まったく婚活に気乗りしないことになって、早晩「中途解約」という結果になってしまう。


あるいは積極的に婚活する気になれず、「寝たきり会員」という結果になってしまったりする。" (37ページ)

 

どのサービスが自分に一番合っているのかを十分に吟味した上で、婚活を始めないとお金や時間の無駄遣いになってしまいますね。


*婚活には第三者のサポートが不可欠


"成婚という目標達成にいたるためにはだれしも、婚活の開始の段階ではなく、見合いにおける不安や悩み、さらには交際の進展につれての不安や悩みを親身に聴いてくれて、的確なアドバイスをしてくれる第三者、すなわち個別的に婚活サポートをしてくれる専門の婚活コンシェルジュの存在が不可欠である。" (p.98)


著者は、この本では一貫して「婚活には第三者のサポートが不可欠」と説いています。


確かに婚活においては、例えばケースワーカーのような、適正なアドバイスが出来る専門家の養成が必要だと感じます。


*良縁の定義とは


相性とは、互いに相応しい人間へと成長するように育んでいこうとする性向である、と著者は言います。


出会えたこと自体が「縁」。


そしてお互いの類似点・共通点を確認しながら、共有し、育んでいくことこそが「良縁」だという事です。